extipl の配布・保守用ページ

extipl とは

もうかれこれ、ひと昔も前のことになります。minix-V を開発している時(1993年3月ころ)に MS-DOS と選択ブートさせるために作った MXboot package というものがありました。 これは完全に独立した２つの小さなプログラムから成るものでした。そのうちの１つで、 マスタブートセクタに書き込むために作られた小さなプログラムを発展させたものが 現在の extipl です。

最新のリリース(extipl5)で何が変わったの？

1. ハードディスクの大容量化に伴い LBAアクセスにも対応し、８Ｇ超の領域からブート可能になりました。
2. インストーラ extipl は機能の異なった ４種類のローダ gemini, taurus, aquila, scorpius を内蔵 しました。
3. gemini は MBR に続く 17 セクタを占有し、 視覚的に操作できるメニューを備えました。
4. taurus, aquila は MBR に許された 446 バイトに収まるもので、gemini の機能限定版です。
5. scorpius は ver 4.xx で内蔵していたローダで、唯一 LBA アクセスをサポートしていません。

extiplの特徴

1. IBM 製 HD-IPL と完全な上位互換性を持っています。
2. 非アクティブパーティションからもブートできます。
3. extipl 内蔵ローダの動作は特定のOSに依存しません。
4. 拡張領域(System-ID:0x05, 0x85, 0x0f)内からもブート可能です。
5. DR-DOS のパスワード機能と共存できます。
6. 必要ならばアクティブ領域を変更後ブートできます。
7. OS のローダさえ対応していれば接続されている任意の HD からブートできます。
   (DISK BIOS が識別できる HD に限ります)
8. フロッピーディスクからのシミュレートができます。
9. 大容量ハードディスクに対応するため、LBAアクセスをサポートしました。

一方、制限もあります。
使用するときには下記のことに注意してください。

1. DISK BIOS(int 13h)の制限はそのまま内蔵ローダの制限事項になります。 extipl 内蔵のローダは DISK BIOS を使ってアクセスしますので、BIOS 経由で見えない部 分にアクセスすることはできません。
2. extipl 内蔵ローダは IBM 技術仕様書に従って OS のローダに制御を渡すだけです。 実際に OS を起こすのは OS が準備しているローダの仕事になります。１台目以外 の HD からもブート可能かどうか、拡張領域内部からブートできるかどうかは後 者の機能に依存しています。
3. サブコマンド clrboot で全領域を非アクティブとした時に、ROM IPL が「アクティ ブ領域が無い」とエラー停止し、ブートできなくなることがあります。このような 時には、一番多く使う OS の領域をアクティブにして回避してください。 本来の仕様ではブート対象ドライブ(1 台目)にはアクティブ領域が必須です。
4. BIOS Setup でブート優先順を C -> A とした場合にはフロッピーを使ったシミュ レーションはできません。BIOS Setup を変更してフロッピーから起動できる状態で お試しください。
5. MBR を独自仕様で使っている OS がインストールされた環境で使うときには注意してく ださい。
6. 他のブートセレクタ等、マスタレコードを操作するツール類との共存はできません。
7. gemini で領域にユーザ定義名称を設定できるのは１台目のハードディスクに限られます。
   全ハードディスクに名称を設定するには、コンパイル条件を変更して gemini を作り直さなけれ ばなりません。
   作り直された gemini は、ユーザ定義名称を保存するために各ハードディスクの第２セクタを 上書きします。他のツールがこの第２セクタを使っている場合には対象ツールに障害を与えますので、 十分に注意してください。

ダウンロード

• PC-UNIX 版
  ソースコードのみで、実行モジュールは含んでいません。自分でコンパイル/イ ンストールしなければなりません。添付ドキュメントにも書いてありますが、こ の作業には 16bit assembler nasm が必要です。別途ご用意ください。なお、このソー スは FreeBSD, NetBSD, Linux でコンパイルできることを確認しています。

• DR-DOS/MS-DOS 版
  DOS 版の実行モジュールは DR-DOS、MS-DOS ver6 等の旧来の MS-DOS環境か、 win9[58] の DOS窓でしか使えません。Win2000 や winXP では動作しませんので 注意してください。WinME 環境下では試していないのでわかりません。また、１ つの例ですが、Win98/Linux の共存する環境で extipl を試す時には、DOS 版で はなく PC-UNIX 版を使ってください。

  ダウンロードはこちらからどうぞ

メーリングリスト

配布パッケージなど

• Debian GNU/Linux <http://www.debian.or.jp/>
  • ftp://ftp.jp.debian.org/debian/pool/main/e/extipl/ に ver5.04 をパッケージ化したものがに置かれています。これは佐野さんの尽力によるものです。
    http で取得しないならば http://http.debian.or.jp/debian/pool/main/e/extipl/ からどうぞ。

• FreeBSD <http://www.jp.freebsd.org/>
  • FreeBSD-4.7 Release の ports/packages に ver 5.04 が、sysutils/extipl として含まれています。

特にお世話になった方々

• Taketoshi SANO <kgh12351＠nifty.ne.jp>
  Debian/GNU 用パッケージ化と本家への登録に尽力してくださっています。
  また、保守環境を Liinux/FreeBSD 上に構築する動機を与えてくれたばかりか、man page の整備やソースコード のチェックに多くの時間をさいてくださいました。
• Ryutaroh MATUSMOTO <ryutaroh＠users.sourceforge.jp>
  Web による公開をそそのかした長屋の若者です。現在もドキュメントの英訳に尽力してくれています。
• Nobumasa TAKAYASU <nobumasa＠fhe.freeserve.ne.jp>
  ２台目以降のハードディスクからブートさせるために Drive-swap アイディアを提供してくれました。 また、非常に危険なテストをしてくださり多くのバグ報告を寄せてくれました。
• tsden.org の住人たち
  長屋の良き隣人として、今でも(そして、これからも)たくさんお世話になっています。

足跡

• Ver 5.04, March 26 2002:
  • gemini の LBA-mode での書き込み時の不備とエラー処理部分を修正。
  • nasm-0.98.24(以降)で処理できない不備(ラベルと予約語の衝突)を修正。

• Ver 5.03, July 18 2001:
  • src/Makefile の不具合を修正

• Ver 5.02, July 3 2001:
  • gemini のドライブ変更機能障害を修正。
  • gemini,aquila の起動時に DL レジスタを強制的に初期化するようにした。

• Ver 5.01, January 6 2001:
  • gemini の drive-swap をシステム標識により有効/無効の切り替えを行うようにした。

• Ver 5.00, December 22 2000:
  • 配布条件を GPL2 に変更。
  • LBA アクセスにも対応。
  • システム標識 0x0f も拡張領域として認識するようにした。
  • 選択メニューと drive-swap 機能を備えた gemini ローダを追加。
  • ドキュメントの書き換え。

• Ver 4.22, June 16 1999:
  • 配布条件を変更し、バイナリ形式(実行形式とドキュメント)での再配布を可能にした。
  • 上記関連部分のドキュメントを修正。

• Ver 4.21, May 12 1999:
  • 英語版ドキュメントを更新。
  • マニュアルページを用意(Linux/FreeBSD 版のみ)。

• Ver 4.20, April 5 1999:
  • 16bit assembler をnasm に変更し、DR-DOS に加えて FreeBSD/ Linux上でも保守できるようにした。
  • 拡張領域(システム標識 0x05, 0x85)の内部からブートできるようにした。
  • MBR にある DR-DOS の password 保存領域を何とか確保した。
  • CHS/LBA 両用のサンプルソースがおまけで入っている。

• Ver 4.10, October 27 1998:
  • restore 部分の書き換えと情けないバグを潰す。

• Ver 4.00, October 23 1998:
  • 保守環境を DR-DOS + LSI C-86 試食版に変更。

• Ver 3.00, October 25 1997:
  • web 公開版。ryutaroh＠tsden.org により英訳ドキュメントが完成。
  • DISK BIOS から見える全ハードディスクを扱えるようになる。
  • IPL コードのみを独立して作れるように、「開発キット」を用意。

• Ver 2.00, March 22 1993:
  • Mxboot package から assist-IPL のみを取り出し保守環境を MS-DOS 上に移し、 インストーラを持たせたものを extipl として公開。

• Ver 1.00, June 29 1991:
  • minix-V をハードディスクからブートさせる mxboot を起動するために assist-IPL として作成し、(故)日経MIX/minix会議に Mxboot package として公開。
  • ＯＳ側が対応していれば２台目のハードディスクからもブート可能。