4. extipl による gemini のインストールと使い方


いきなりハードディスクのブートプログラムを書き換えるのはちょっと抵抗があるかも 知れません。そんな慎重なあなたのためにフロッピーディスクを使って体験することが できます。そして覚悟が決ったならばハードディスクへのインストールに進んでくださ い。extipl は全部で4個のローダを内蔵していますが、ここでは default でインスト ールされる gemini を使って説明します。

4.1 gemini をフロッピーから使う

本来デバッグ用に作ったものをそのまま残したものです。ハードディスクのマスタブー トプログラムにはまったく触らずに gemini の基本的な機能を再現させることができま す。テストするにはフォーマット済みのフロッピーディスクをユニット #0 に入れて

# extipl fdtest fd0

とします。この時確認を求められますので "y" キーで答えてください。 "Ok" と表示されればフロッピーユニット #0 にあるディスクの先頭セクタ に gemini と呼ばれるコードが書き込まれています。

フロッピーから試す前にBIOS Setup でブート順序が必ず "A -> C" となってることを確認してください

また、ブート可能な CDROM などもドライブから抜き出しておきましょう。さもない とフロッピーディスクから優先してブートできません。それでは、gemini を書き込ん だフロッピーディスクを入れたままマシンをリブートしてください。

ブート時の BIOS 初期化に伴う諸々のメッセージが出たあとで、

extipl ...10

と表示され、やがてブートに向けてのカウントダウンを開始します。この時の待ち時間 は 15 秒で、この間に <Space> キーなどが押されるとブート領域の選択メニュー が表示されます。待ち時間経過を中断して、アクティブ領域からブートさせたい時には <Enter>キーを押してください。

<Space>キーなどが押されると、次のような画面が表示されブート領域の選択が できます。

  +-------------------------------------------------------------------------+
  | Drive: 1/2                                                    mode:LBA  |
  +-------------------------------------------------------------------------+
  |                                                  |                      |
  |  0B: FAT32                               1866MB  | Change target Drive  |
  |                                                  |                      |
  |  06: FAT16(>32MB)                         125MB  |                      |
  |                                                  |                      |
  | *A5: FreeBSD                             2596MB  | Mark active and Boot |
  |                                                  |                      |
  |  05: Extended DOS                            --  | Boot                 |
  |                                                  |                      |
  +-------------------------------------------------------------------------+

選択画面は、上下の2段構成になっており、上側は必要な諸元を表示するガイド部。 下側はさらに左右2つに別れており、左側はパーティションテーブルの内容を、右側に は gemini ローダのコマンドメニューが表示されてます。最初は、左側のアクティブ領 域上にカーソルが置かれ、そこが反転表示されるはずです。もし、アクティブ領域がな ければ最初の領域にカーソルが置かれます。

操作は視覚的に分かると思いますが、もっとも簡単な選択ブート手順は、左側で上下カ ーソルキーを使い、ブートさせたい領域を反転表示させます。そして、右カーソルキー で右側に移動し、Boot の文字上にカーソルを置き <Enter> キーを押す、となります。 この時に左側でブート対象として選択したものが DOS/Linux 拡張領域ならば、gemini は拡張領域内部からブート標識を探してブート処理を行います。もし、拡張領域内部に ブート標識がみつからなければ、さらなる選択を促すために次のような画面に変わります。

  +-------------------------------------------------------------------------+
  | Drive: 1/2                  (Inside: #4 Extended DOS)         mode:LBA  |
  +-------------------------------------------------------------------------+
  |                                                  |                      |
  |  [1] 83:Linux native                      256MB  | Change target Drive  |
  |  [2] 83:Linux native                     1153MB  |                      |
  |  [3] 83:Linux native                       86MB  | Return to MBR        |
  |  [4] 82:Linux swap/Solaris x86             62MB  |                      |
  |                                                  | Mark active and Boot |
  |                                                  |                      |
  |                                                  | Boot                 |
  |                                                  |                      |
  +-------------------------------------------------------------------------+

ガイド部に "Inside: #4 Extended DOS" の表示が出て、マスタテー ブル4番目の拡張DOS 領域内に入っていることがわかります。また、右側にはマ スタテーブルに戻るためのメニューも加わります。マスタテーブルでの選択と同 じ手順でブートさせることができます。

拡張領域内部での選択では一度に表示できる領域数は7個です。8個以上の領域 がある場合はカーソルの移動に伴って縦スクロールしますが、プログラム上では 最大 16 個までしか読み込まないようになっています。

なお、ガイド部と右側に表示されているコマンドの意味は、以下のとおりです。

Drive: n/m
BIOS が認識しているハードディスク数を"m"に、現在選択対象になっている ドライブを"n"に表示します。

mode: LBA
現在のハードディスクへのアクセス状態を表示します。
"LBA"はLBA モードでハードディスクにアクセスしていることを表しています。 LBA モードをサポートしていない場合には"CHS"と表示されます。

Change target Drive
BIOS から見えるディスクが2台以上の時にのみ表示されます。認識している ディスクを巡回する形で切り替えを行います。

Return to MBR
左側に DOS/Linux 拡張領域内部を表示している時にのみ表示され、マスタテ ーブルの表示に戻したい時に使います。

Mark active and Boot
選ばれた起動領域にブート標識(Active flag)をセットしてからブートします。 "extipl chgboot" でブート標識を変更した時と同様に、選択された条件をみて マスタテーブルと拡張領域内のブート標識に矛盾がないよう調整します。

Boot
ディスク上のブート標識はそのままで、メモリ上に読み込まれたマスタテーブ ルのブート標識を操作し、選択されたOSのローダを起こします。

また、左側にカーソルを置いたときに限り、次のキー操作が有効になりますので、 慣れれば最低限のキー操作で選択ブートができます。

<Enter>
カーソルで示された領域からのブート処理を試みます。選択されたものが DOS/Linux 拡張領域ならばその内部からブート標識を探してブート処理を行 います。もし、拡張領域内部にブート標識がなければ、後述の<Space>キ ーと同様に振る舞います。
右メニューの "Boot" と同じ。

<End>
選択された領域にブート標識をセットしてからブート処理を行います。
右メニューの "Mark active and Boot" と同じ。

<Space>
DOS/Linux 拡張領域上にカーソルがある時にのみ有効で、その内部一覧を表 示します。
右メニューに該当するものはありません。

<Backspace>
DOS/Linux 拡張領域内部を表示しているときにのみ有効で、マスタテーブル の表示に戻ります。
右メニューの "Return to MBR" と同じ。

"0"
数字のゼロキーで、初期の extipl と同様にドライブ切り替えを行います。
右メニューの "Change target Drive" と同じ。

さらに、カーソルキーが小さくて使いづらい時などは、vi(1) のカーソル移動キー h, j, k, l で代用することもできます。

4.2 gemini をハードディスクにインストール

フロッピーから使うのは本来デバッグ目的ですし、立ち上げ用のフロッピーディスク が残っていて不便です。ハードディスクに gemini をインストールするには、

# extipl install wd0

あるいは、

# extipl install wd0 @gemini

などとします。途中で現在の先頭セクタの保存を促されますから、適切なファイル名 を入力してください。ファイル名にはパスを含んでも構いません。その後、本当に書 き換えて良いかどうか確認しますので、良ければ "y"で答えてください。 "Ok."が返れば gemini のインストールは完了です。なお、この作業は root で行ってください。常識的にはブートセクタへは一般ユーザの書き込み権が与えられ ていません。

使い方はフロッピーからとまったく同じです。

4.3 gemini のオプション

gemini は領域選択画面で <Alt>キーを押しながらアルファベットキーを押すこと より、オプション機能を呼び出すことができます。現在用意されているオプション は次の3つです。

<Alt> + t : ブート標識のある領域から自動起動するまでの待ち時間変更
選択対象ドライブが1台目の時にのみ有効なもので、自動起動までの待 ち時間を0 〜 999 秒の範囲で変更することができます。(デフォルトの 待ち時間は 15 秒) このオプションが呼ばれると、画面下方に

Time to pause before boot: 15 -> _

と表示され、新たな待ち時間を設定することができます。ここでは3桁 の数字を受け付けますが、何も入力しないか、<Esc> キーでキャンセル することもできます。新しい待ち時間を設定した時には、<Alt>+s によ り保存してください。この設定は次回の gemini 起動時から有効になります。
なお、待ち時間を 0 秒にすると、ブート標識のある領域からの自動ブー トは行われず、常に領域選択状態になります。

<Alt> + n : 領域名称の設定
カーソルが左側にあるときにのみ有効で、選択時に表示される領域名称を 分かりやすいものに置き換えることができます。インストール直後の gemini は内部にあるテーブルから System-ID をキーに名称を決定して表 示しています。0x82 の ID を持つ領域は "Linux swap/Solaris x86"と しか表示されません。これをより実態に合った、"Solaris-8 x86"等の表 示に変更することができます。 名称を変更したい領域にカーソルを置き、<Alt>+n を押すと、画面下部に

Enter Name (20 chars max): _

とプロンプトが現れ、20 文字以内で好みの名称を入力できます。設定された名 称は <Alt>+s で保存してください。なお、名称の入力中に <Esc>キーを押すと現在入力中のものがキャンセルされます。すでに設定 した名称を抹消するには、何も文字を入力せずに <Enter>キーだけを押し てください。登録できる数はハードディスク1台につき 12 個までです。

[※ 注意 ※]
これらの名称データは各ハードディスクに対して MBR の次のセクタ ター(2番目のセクタ)に保存されます。配布ソースのコンパイル条件そのま までインストールしたものは、1台目に対してのみ保存を行います。 すべてのハードディスクに対してユーザ名称を設定したい時にはコンパイ ル条件を変更しなければなりません。(詳細は Makefile 参照のこと) コンパイル条件を変更して作成した、各ハードディスクに対して名称設定 ができる gemini は、他のツールが使っているかもしれないセクタのデー タを上書きし、障害が発生する可能性があります。自分の使用環境を考え、 注意して使ってください。

<Alt> + s : 変更した設定を保存
<Alt>+t等で変更された設定を、保存するときに使います。
ユーザによる設定は自動的に保存されませんので、ブート前あるいは、 対象ドライブの切り替え前この +s により保存してください。 さもないと、設定は失われます。

[※ 注意 ※]
下記は、いずれも fdtest で作られたフロッピーから起動したときだけの制限です。
  1. 変更された設定データの書き込みはハードディスク1台目の代りにフロッ ピーディスクに行います。特に、初回起動時は何も変更しなくても、gemini が名称登録テーブルを初期化して書き戻そうとします。フロッピーを一旦取 り出し、再挿入すると「メディアチェンジ」エラーがでますので、注意して ください。fdtest で作ったブートフロッピーを取り出してしまった時には、 必ず <Alt>+s により2回保存指示を入れてください。
  2. 変更された領域名称が保存されるのは1台目のハードディスクに限られます。 ブート標識設定以外は、ハードディスクに書き戻さない仕様によるものです。

4.4 ドライブスワップについて

gemini は2台目以降の任意のハードディスクからブートされた時に、起動対象ドライ ブを DISK BIOS で識別する1台目ハードディスクの番号 0x80 にすり替えることがで きます。つまり、2台目のハードディスクから起動し、この機能が有効になっている と、DISK BIOS にドライブ番号 0x81 としてサービスを要求すると1台目に、0x80 な らば2台目と、順序が入れ替わってアクセスされます。
この機能は DR-DOS/MS-DOS や Windows95,98 等を2台目から起動させるには有効に働 くのですが、FreeBSD, Linux 等ブートの初期段階以外は DISK BIOS を使わない柔軟 なローダを持つものに対してはブート障害の原因にしかなりません。このため、gemini は、2台目以降のハードディスクから下記のシステム標識を持つ領域が起動対象とな った時にのみ、ドライブスワップ機能を有効にします。

0x01 FAT12			0x04 FAT16(<=32MB)
0x06 FAT16(>32MB)		0x07 NTFS/HPFS
0x0B FAT32			0x0C FAT32(LBA)
0x0E FAT16(LBA)			0x11 Hidden FAT12
0x14 Hidden FAT16(<32MB)	0x16 Hidden FAT16(>=32MB)
0x17 Hidden HPFS		0x1B Hidden FAT32
0x1C Hidden FAT32(LBA)		0x24 NEC DOS 3.x
0x86 NTFS striped FAT		0x87 NTFS striped
0xCB secured FAT32		0xCC secured FAT32(LBA)
0xCE secured FAT16(LBA)		0xF2 DOS 3.3 2nd partition

また、起動時に次のキーの組み合わせを使用することにより、システム標識にかかわらず ドライブスワップ機能の有効/無効を指定することができます。

<右シフト> + <Enter>: 常に有効にする
<Ctrl> + <右シフト> + <Enter>: 常に無効にする

もし、ドライブスワップ機能を一切必要としないならば src/Makefile の GEMINIFLAGS 右辺にある -dHOOKUP13 を削除し、再コンパイルした extipl によりインストールされる gemini を使ってください。

5. extipl の内蔵するローダについて

extipl は前項で触れた gemini と呼ばれるローダの他にも、マスタレコードに 許された 446 バイトに収まるよう機能を限定したものを3個内蔵しています。 install/fdtest でこれらの名称を指定することができます。目的に応じて使い分け てください。これらローダを extipl から指定するには、インストールしたいローダ 名の前に "@" を置いて、次のようにします。

# extipl install wd0 @taurus  ; taurus を指定
# extipl install wd0 @gemini  ; gemini を指定

なお、install/fdtest で名称を省略した場合には gemini が指定されたものと見な します。また、ローダ名称の前に "@" を忘れると、外部ファイルが指定されたもの として処理されますので注意してください。

5.1 gemini

2段式ローダで、最も視覚的な使い方ができますが、コードサイズも大き く現在の版では約 8KB 程あります。以下に述べる特徴を持ち、内蔵するロ ーダの中でもっとも機能が豊富です。他のローダは gemini のサブセットと 考えても差し支えありません。

  1. CHS/LBA を自動判別してアクセスできます。
  2. DISK-BIOS から見える任意のハードディスクから OS ローダを起動できます。
  3. DOS/Linux 拡張領域内のブート標識(Active flag)をたどって自動的にブート させることができます。
  4. DOS/Linux 拡張領域内部からも選択ブート可能です。
  5. ブート標識(Active flag)を変更後に OSローダを起動させることも できます。
  6. もし、何らかの理由で2段目に制御を渡せない時には、1段目だけ でブート標識のある領域から起動させることもできます。

5.2 taurus

gemini の1段目ローダ(pollux)から2段目ローダ(castor)を呼び出す機能 を外したものです。コードサイズはマスタレコードに収まる 446 バイト以 下で特徴は次の通りです。

  1. CHS/LBA を自動判別します。
  2. 起動対象とできるのは DISK-BIOS から見える最初のハードディスクのみです。
  3. DOS/Linux 拡張領域内のブート標識(Active flag)をたどって自動的 にブートさせることができます。
  4. ドライブの切り替えや起動領域の選択、ブート標識の再設定等はで きません。
古くからある MS-DOS の "fdisk /MBR"で書き込まれるローダに LBA対応とDOS/Linux 拡張領域内からもブートさせる機能を追加したものと 考えれば分かりやすいでしょう。

5.3 aquila

gemini の1段目ローダをベースに、限定的ながら起動領域の選択機能を持 たせたものです。コードサイズはマスタレコードに収まる 446 バイト以下 で、次のような特徴を持ちます。

  1. CHS/LBA を自動判別します。
  2. 選択起動できますが、対象となるのは DISK-BIOS から見える最初の ハードディスクのみです。
  3. DOS/Linux 拡張領域内にブート標識(Active flag)をたどって自動的 にブートさせることができます。
  4. DOS/Linux 拡張領域内部からも選択起動可能です。
  5. ドライブ切り替えやブート標識の再設定はできません。
  6. 選択メニューを呼び出すトリガには <CapsLock>キーを当てています。 他のキーを割り当てたければ、altair.asm にある TRIGGER_BIT の定 義を適宜書き変えてください。

余計な機能は不要で、時々だが1台目のドライブから選択起動したい場合な どに使ってください。

使い方は以下のとおりです。
  1. ブート標識のセットされた領域から起動させるには、<CapsLock>を off にして待ってください。何もすることはありません。
  2. 選択起動をしたい場合には、BIOS によるキーボードの初期化が終わ ったころをみはからって、<CapsLock> を on にし、選択メニューが 表示されるのを待ちます。最初に現れる選択メニューは以下のよう に、マスタテーブルの内容を、登録されているテーブルの番号とシス テム標識を16進数で表示してきます。なお、プロンプト "Boot>" に続く数字はブート標識のセットされている領域の番号です。
    No Sys
    1   0B
    2   06
    3   A5
    4   05
    Boot>3
    

    この例では、1〜3の領域は数字を選んで <Enter> キーによりブー トさせることができます。4番目の DOS 拡張領域を選ぶと、さらに その内部を表示し、次の選択を促してきます。

    No Sys
    1   83
    2   05
    3   
    4   
    Boot>4.1,1
    

    "Boot>"" に続く数字が増えました。左側から2個は、各々マスタテー ブル上の登録番号、拡張領域内をどこまでたどったかを示す意味をも っています。ここの例ではマスタテーブル上の4番目の領域を1つ入 った位置にいることを示しています。 ここで、DOS 拡張領域の "2" とタイプし <Enter> を打つと、さらに 1つ仮想ボリュームのリンクをたどっていけますので、左から2番目 の数字を見ながら目的の位置までたどり、ブートさせることができます。

[※ 注意 ※]
コードサイズによりaquila には以下のような制限があります。

5.4 scorpius

extipl ver4.x で Extended-IPL と称し、内蔵していたものの名前を変えたも のです。最も古くからあり、選択起動できるローダで gemini の仕様のベース となったものです。コードサイズはマスタレコードに収まる 446 バイト以下 で、特徴は次の通り。

  1. CHS モードでのみ動作。
  2. LBA には対応していないので 8GB 超の位置 からブートできません。
  3. DISK-BIOS から見える任意のハードディスクから OS のローダを起動 することができます。
  4. DOS/Linux 拡張領域内のブート標識(Active flag)をたどって自動的 にブートさせることができます。
  5. DOS/Linux 拡張領域内部からも選択ブート可能です。
  6. ブート標識(Active flag)を変更後にブートさせることもできます。 但し、変更できる対象は BIOS からみで最初のハードディスクのマス タテーブルのみです。
このローダの詳細は添付の scorpius.txt を参照してください。

6 拡張領域の取り扱い

ここで言う拡張領域とはシステム標識 0x05(DOS 拡張領域)、0x85(Linux拡張 領域)、0x0f(FAT-LBA拡張領域)の3種類を指しています。IBM の技術仕様書によ れば、「この標識を持つ領域はブート不可」と明記されていますし、DOS の fdisk などブート領域を設定できるプログラムではブート標識を設定してはいけ ない、とも書かれています。

しかし、extipl 内蔵の全ローダは DOS 拡張領域ブート標識が設定されてい ると、さらにその内部からブート標識のある領域を探し、そこからブート処理を 行うことができます。この仕様を外れた処理の理由は、Linux のインストーラが DOS 拡張領域の中にブート対象となる Linux native(0x83) を置いてしまうこと、 あるいは、オペレータが意図的に拡張領域内に Linux のブート領域をインストー ルしてしまうことに対応するためです。このために現在、拡張領域内部からブー ト確認が取れているものは linux のみです。おそらく、その他の OS ではブー トできない可能性が極めて高いと思われます。

拡張領域の内部はポインタによりリンクされた仮想ボリュームの集まりです。 仮想ボリュームは拡張領域と1個の論理ブロック領域で構成され、この拡張領域 に次の仮想ボリュームへのポインタが格納されています。このリンク構成は extipl のサブコマンド"show"を -d(debug option) 付きで使うこと により見ることができます。以下はその例です。(デバッグ情報を画面に表示し ますので、実際はもっと雑然としています)

 [4] 05: Extended DOS
    ( 1) 83: Linux native
    ( 1) 05: Extended DOS
       ( 2) 83: Linux native
       ( 2) 05: Extended DOS
          ( 3) 82: Linux swap/Solaris x86

この例では、内部に3つの仮想ボリュームがあり、それらが拡張領域を意味 するシステム標識を使って繋がっているのがわかります。つまり、マスタテーブ ルの SysID=0x05には最初の仮想ボリューム(1)へのポインタがあり、(1)には、 SysID=0x83 の Linux native の論理ブロック領域と次の仮想ボリューム(2)への ポインタか格納された拡張領域があります。そして、(2)からリンクされた仮想 ボリューム(3)には SysID=0x82 のLinux Swapのみで、リンクが終端します。

extipl 内蔵の全ローダは拡張領域内部からブート標識を探して自動的に起動 させることができますが、マスタテーブル(ここの例では4番目の領域)にブート 標識を設定しただけでは OS を起動させることはできません。拡張領域内部のリ ンクを、目的の場所までたどっていけるようにブート標識を設定しなければなり ません。上記の構成例で、拡張領域内の2番目の Linux native 領域からブート させるには、

A[4] 05: Extended DOS
    ( 1) 83: Linux native
   *( 1) 05: Extended DOS
      *( 2) 83: Linux native
       ( 2) 05: Extended DOS
          ( 3) 82: Linux swap/Solaris x86

のように、マスタテーブルから"(2) Linux native"の位置までブー ト標識のリンクを作っておかなければなりません。マスタテーブルを起点として、 仮想ボリューム内部に矛盾なくブート標識のリンクを設定するには、extipl の サブコマンド "chgboot"、あるいは、内蔵ローダ gemini の "Mark active and Boot" 機能により容易に行えます。

========
Linux が持っている選択ブート可能なローダ Lilo をマスタレコードに置い た場合、この MBR-Lilo は自分が次に起動すべき2段目ローダのセクタア ドレスを知っています。このため、ブート標識の有無にかかわらず Linux を起動させたり、2段目ローダから他のOSを選択起動させられますが、 この2段目ローダは Linux 領域内に置かれ、Linux に非常に 強く依存した設計になっています。
一方、extipl が内蔵するローダは特定のOSにはまったく依存していません。 ローダ内部には特定の領域やプログラムへのポインタはいっさい保持してい ませんので、起動する論理ブロックに至るリンクをブート標識により作って やらなければなりません。
========

7. エラーコード

gemini 以外の内蔵ローダは DISK BIOS がエラーを返した時に、2桁 16進数 のエラーコードを表示して作業を放棄しますので、適切な対処をしてください。 唯一 gemini だけは

Disk BIOS Error, code=0x????

と、"????"の部分にドライブ番号(上2桁)とエラーコード(下2 桁)を 16 進数で表示し、処理の継続を試みます。この時に画面が乱れるかも知 れません。無理な強行はやめ、BIOS の解説書により原因を調べて適切な対処を 施してください。なお、BIOS が返すエラーコードは以下のように定義されてい ます。

0x01 Bad command
0x02 Bad address mark detected
0x04 Record not found
0x05 reset fail
0x07 Cannot drive initialize
0x09 DMA boundary error
0x0B Bad track flag detected
0x10 Uncorrectable ECC error
0x11 Correctable ECC error
0x20 Bad controller
0x40 Seek error
0x80 Time out
0xBB Undefined error
0xFF Sense operation fail

8. 補足

8.1 内蔵ローダの内部構造

内蔵している IPL の動作に興味があるならば添付の techical.txtをご覧ください。
説明は extipl が最も古くから内蔵しているローダで、ここでは scorpius と呼ばれ るものについてですが、双子ローダ gemini でも基本的な処理は何ら変わっていませ ん。十分参考になると思います。

8.2 extipl の option flags

extipl は特殊な用途のために次のような 4 個の option flag を用意しています。

-d: debug
書き込む内容を検証するための option です。この option が指定される と、実際にブートコードを HD あるいは FD に書き込むことは行わず、そ のイメージを "./_BootSec.???" として書き出します。??? の 部分はその時に書き出された順序で 000 からの連番が振られます。
ダンプツールや 8086 逆アセンブラ ndisasm を使って内容 の確認ができます。

-f: force install
サブコマンド "install" にのみ影響のある option で、古いブートセクタ の保存とインストール作業の確認を行なわずに、ipl code を書き込みます。 この時、古いブートセクタの内容は "./fdiskIPL.???" として自動的に保存 されます。もし、不要ならばあなたの手で削除してください。

-p: packing partition table
IPL code を書き込む時に、パーティションテーブルの内容を前に詰め、 未使用領域を末尾に集めます。

-s: sorting partition table
IPL code を書き込む時に、パーティションテーブルの内容を開始セクタ をキーとして昇順にならべ変え、未使用領域を末尾に整理します。

[注意・警告]
---------
-p,-s option を使ってパーティションテーブルの登録位置 を変更すると、副作用に悩まされることがありますので、十分に注意してください。
ここで言う「副作用」の意味がとっさに分からない人は、これらの -s,-p option を絶対に使わないでください。 不親切かも知れませんが、どんな場合に、どのような副作用があり、その対 策はどうする、と言った具体的な説明はしません。
くどいですが、ブートプロセスの詳細を知らない人は -p, -s optionを使わ ないでください。安易に使って不幸になっても責任はとりません。
---------


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